選挙権年齢引き下げ受け県教委が初の研修会



校長らが参加した主権者教育の研修会


 7月に実施される参院選から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのを踏まえ、県教委は10日、公立学校の校長や主権者教育担当の教員を対象にした研修会を県セミナーパーク(山口市)で初めて開催し、約160人の参加者が生徒たちの主権者意識を高めるための取り組みや学校内外での政治的活動における注意点などを学んだ。
 河村隆高校教育課長は「高い意識を持った主権者を育成するため、地域や家庭と一体になりながら取り組みを進めてほしい」とあいさつ。県教委の担当者が、学校での主権者教育の現状と課題を説明し、「自ら考え判断し、行動する高い資質を持った有権者を育成するには、積極的な社会参加を促したり、多面的に考察して公正に判断する能力を身に付けることが重要だ」とした。
 続いて、県選管の職員が最近の衆院選や参院選、県議選の年齢別投票率が、70代は7割なのに対して20代は2割であることに触れ「若者の投票率が低いと、政治に声が十分に反映されなくなる」と、投票の意義を強調。選挙運動の定義や禁止行為などの具体例を解説した。
 その後、主権者教育担当の教員たちは、各校での取り組みや高校生の政治的活動等の取り扱いについて、議論を交わした。


「政治的中立性」の確保が課題

 選挙権年齢の引き下げを受け、県教委は昨年12月、主権者教育の推進のための教員向け手引書を作成。ことし2月には高校生の政治的活動についての方針や具体的な対処例を示した通知を各校長に出した。
 この中で、高校生の政治的活動については、教育基本法に基づき「政治的中立性」の確保を求める一方、学校外で行う活動について届け出制とするかどうかは校長の判断に委ねられた。県教委によると、これまでに届け出制を導入したり、検討している学校はないという。主権者教育についても、校長を中心に学校の指導方針に基づいた計画的な推進を求めている。
 10日の研修会では、校内に選挙権を持つ生徒と、選挙運動が禁止されている選挙権を持たない生徒が混在し、より政治的中立性に配慮する必要があるとした上で、主権者教育の効果的な手法として、公民科の授業で選挙制度や投票率、雇用や農業・食糧問題といった具体的な事例を用いて主権者意識を高める事例が紹介された。だが、その際にも教員が個人的な主義主張を述べることは避けることや選挙運動期間中に特定の候補等に投票を促したり妨げることがないよう注意するほか、新聞等の副教材については複数使用で多様な見解を紹介することを徹底した。
 参加した地歴公民科の女性教諭は「個人の判断ではなく、学校全体で共通の認識を持って取り組む必要がある」とした上で「生徒会や委員会活動、クラス運営など校内の身近な活動を主体的に行うことで、主権者としての心構えを学ぶことも大切」とした。
 市内の県立高校でも、主権者教育の充実が図られている。防府西高は、6月に市選管の職員を招いて講演会を実施。吉長幸視校長は「全校集会なども活用して、意識の向上や投票・政治的活動における注意点などを徹底したい」と話す。
 防府商工高も、選挙に関する副読本を朝読書の時間に全校生徒が読むことや選管による出前授業の実施を計画している。「1年生の段階から有権者としての意識づけが図れるような取り組みを進める」と、栗林正和校長。
 5月末をめどに年間の実施計画をまとめる予定の防府高は「日ごろの授業等を通じて政治的判断力が身に付くようにするとともに、選挙違反に問われるような行為に巻き込まれないよう選挙に関する知識を周知徹底したい」(宮地政利校長)としている。
 なお、生徒の政治的活動については、各校とも県教委が示した指針に基づいて適切に判断・対応するとしている。
2016年05月11日(水) No.3549 (未分類)

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